成年後見とは?
成年後見とは、認知症や重度の精神障害などを負った方を守るために、未成年者にとっての「親」のような、「成年後見人」に契約上の取消権などを与え、詐欺被害等から、守るための制度です。ただ2018年現在1000万円以上の財産をお持ちの方には、デメリットが非常に多い制度に代わってしまいました。
後見の申し立て動機
上記の通り、成年後見の申し立て動機の1位は、「預貯金の管理・解約」です。
銀行に行って、認知症気味の親の預金を代理で解約や引き出しをしようとした際に、「成年後見人」をつけるよう銀行から言われて、成年後見を考えられる方が多いのです。
良く勘違いされている方がいらっしゃいますが、「成年後見」は義務ではありません。
成年後見人をつける必要は必ずしもありません。
成年後見のリスクとデメリット
現状の成年後見制度には、リスクがあります。
それは家族以外の他人が入ってきて、その成年後見人が独自の判断で、財産を売却できることです。
リスク①
財産が一定以上ある場合、親族は後見人になれない可能性が高い。
成年後見で親族が後見人になれる割合
後見人に親族以外が選ばれる条件
(1) 親族間に意見の対立がある場合
(2) 流動資産の額や種類が多い場合
(3) 不動産の売買や生命保険金の受領など,申立ての動機となった課題が重大な法律行為である場合
(4) 遺産分割協議など後見人等と本人との間で利益相反する行為について後見監督人等に本人の代理をしてもらう必要がある場合
(5) 後見人等候補者と本人との間に高額な貸借や立替金があり,その清算について本人の利益を特に保護する必要がある場合
(6) 従前,本人との関係が疎遠であった場合
(7) 賃料収入など,年によっては大きな変動が予想される財産を保有するため,定期的な収入状況を確認する必要がある場合
(8) 後見人等候補者と本人との生活費等が十分に分離されていない場合
(9) 申立時に提出された財産目録や収支状況報告書の記載が十分でないなどから,今後の後見人等としての適正な事務遂行が難しいと思われる場合
(10) 後見人等候補者が後見事務に自信がなかったり,相談できる者を希望したりした場合
(11) 後見人等候補者が自己もしくは自己の親族のために本人の財産を利用(担保提供を含む。)し,または利用する予定がある場合
(12) 後見人等候補者が,本人の財産の運用(投資)を目的として申し立てている場合
(13) 後見人等候補者が健康上の問題や多忙などで適正な後見等の事務を行えない,または行うことが難しい場合
(14) 本人について,訴訟・調停・債務整理等の法的手続を予定している場合
(15) 本人の財産状況が不明確であり,専門職による調査を要する場合
* 上記(1)から(15)までに該当しない場合でも,裁判所の判断により後見人候補者以外の方を成年後見人等に選任したり,成年後見監督人等を選任する場合があります。
東京家庭裁判所のHPより引用
裁判所は、後見制度が始まった当初と違い、親族後見人にネガティブです。
基本的に各家庭裁判所によって異なりますが、資産が○○万円以上ある場合や、不動産収入がある場合などは、裁判所が親族以外の職業後見人(弁護士や司法書士等)を選任することが多いです。
理由としては、親族後見人による多額の財産の横領です。
成年後見制度の利用者と不正・被害額の推移
そのために、職業後見人や親族が後見人になっても、「後見監督人」が付くケースが多くなりました。
リスク②
職業後見人が純ビジネス的に成年後見を請け負う可能性を否定しきれない。
弁護士や司法書士の職業後見人が専任された場合、かかる費用は2つの形があります。
基本報酬
管理する財産額が1000万円以下・・・・・月2万円
1000万円~5000万円以下・・・・・・月3~4万円
5000万円以上・・・・・・・・・・・・月5~6万円
後見を引き受ける専門家にとっては低く、支払う家族の側からみると多い金額と言われています。
それよりも問題が大きいのが、付加報酬です。付加報酬とは、通常の財産管理以外に特別な行為をした場合に、支払われる報酬です。
付加報酬
・訴訟・非訟・家事審判 ・遺産分割調停 ・不動産の処分・管理 |
・調停・訴訟外の示談 ・保険金請求 ・介護サービスの締結等 |
例えば、親の口座から、毎月の生活費を被後見人(本人)の同意を得て引き出し、生活費に充てていた行為を、「横領」として訴訟し、横領したとされた額を返還した場合、付加報酬が支払われます。
本人の財産を保護し、増やす行為だからです
自宅以外の別荘や賃貸アパートを本人が経営していた場合、
それを売って、現金に変え、高級老人ホームに入れた場合、
①不動産の売却②介護サービス契約の締結
二つの付加報酬が支払われます。
奥さんや娘のために本人(被後見人)の死後、困らないようにかけていた保険本人(被後見人)がお金が必要という事情があれば、家族の同意なく解約できます。その場合、付加報酬が支払われます。
これらの行為は、家族・親族に一切の連絡なしに、後見人の権限の範囲内で行えます。
また家族が、被後見人(本人)の財産の状況がどうなっているのかを知りたいと思っても、後見人は教えないのが原則です。教えると、財産分与のプレッシャーをかえる親族がいるから、だそうです。
99%の職業後見人の方がそうでないと信じたいことですが、純ビジネス的に成年後見という仕事を考える後見人がいるのは事実です。財産が全くない場合、成年後見は有益に機能するケースが多いですが、財産があり、本人(被後見人)が子どもや妻に、しっかりと財産を残したいと考えている(いた)場合、成年後見は非常に問題の多い制度になってしまいました。
トリニティグループでは、財産をお持ちの方には、成年後見をおすすめしておりません。
そのために、家族信託という選択肢をお考えいただきたいです。
家族信託とは?
財産を信頼できる人に信じて託す「信託」することで、管理権と収益を受ける権利を分け、
後見的な管理・運用や財産継承、死後の手続きを行うことができる制度です。
認知症が発症している場合、契約や支払いなどの法律行為を行う「行為能力」はないものと推定されますが、本人が、家族に財産を託したいという意思を表す「意思能力」は別軸で判断されます。
行為能力
一人で契約などの法律行為を行う能力。
一方で、20歳未満の未成年は、行為能力がないものとされる。
意思能力
自己の行為の結果を判断するに足りるだけの認知能力。
10歳くらいの子どもでもあるとされる。
成年でも泥酔状態では意思能力はない。
家族信託は、認知症でも10歳程度の内容を理解し、意思を表明する能力があれば、信託することができます。個別のケースによるところが大きいので、まずは、お問い合わせください。全力でご支援します。
家族信託と成年後見の比較
付加報酬(例)
被後見人への不法行為による被害を原因とする
1000万円の損害賠償請求を訴訟し、勝訴判決を得た
約80万円~約150万円(8%~15%)
遺産分割調停
約55万円~約100万円(1.375%~2.5%)
居住用不動産の任意売却
家庭裁判所の許可を経て3000万円で任意売却
約40万円~約70万円(1.33%~2.33%)
トリニティグループの家族信託の特徴
トリニティグループは司法書士法人と行政書士法人のグループですが、多数の税理士・弁護士と提携し、あらゆるニーズに対応できる体制を整えています。なので、「分野が違う」などと言われて専門家の間をたらいまわしにされる心配はありません。
お客様の声
トリニティグループで家族信託をご利用いただいたお客様から
多くのお声をいただいています。
65歳 自営業 男性Aさん
大阪府
当初は、相続税の対策について考えており、自分が認知症になった時のことは、漠然とした不安があるだけの状態でした。 しかし、話を聞くと、認知症になってしまったら、不動産の売却や、建替え、建築、融資契約など一切ができなくなって …
27歳 会社員 男性Bさん
東京都
家族信託についてのお話は、相談する前から知っていました。 父が認知症になった際の不安と、将来的な相続発生時に、家族とトラブルにならないかという不安があったため、父にトリニティグループに相談するように勧めました。 実際に相 …
38歳 会社員 女性Cさん
東京都
ある不動産業者の人を通じて、トリニティさんをご紹介していただきました。 祖父が築いた資産を適切に継いでいくためには、遺言ではなく家族信託という方法が良いと提案をして頂きました。 まったく無知でどうしていいかわからなかった …
セミナー/相談会情報
家族信託についての良くある質問とその答え(Q&A)
受託者が先に亡くなったら家族信託はどうなるのですか?
受託者が不存在となった場合には、委託者と受託者の合意によって新たな受託者を選任することになりますが、通常は受託者が先に亡くなってしまう可能性を見越して、契約の中で、受託者が先に亡くなった際に次に受託者になる方もあらかじめ …
家族信託に節税効果はあるのですか?
家族信託そのものに節税効果はありません。 但し、認知症になってしまうと不可能になってしまう暦年贈与などは、信託を活用しておけば、本人が認知症になってしまった後も実行が可能となりますので、間接的な意味では節税効果があるとい …
家族信託のデメリットを教えてください。
家族信託は、信託財産を預かる受託者が自らの責任をもって信託財産を管理運用し、第三者の監督などは原則ありません。 したがって、受託者が横領などの不正を働いた場合に発覚が遅れる、受託者が不正を働いていなくても、受託者をよく思 …
親族ではない第三者が家族信託の受託者になるケースの注意点を教えてください。
家族信託の受託者は、信託財産の管理・運用という責任の大きな業務に取り組まなければなりません。なので、第三者に受託者を依頼する場合には、受託者が責任をもって業務を遂行してくれるように、信託契約の内容である程度細かい点までし …