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古物・古物商

古物とは?古物商とは?その種類と負う義務を徹底解説!

中古品を売買する場合によく耳にする「古物商」。

昨今ではスマートフォンのアプリで自由に中古品の売買ができるようになり、業者を介した取引でなく、個人間での取引も増えてきている中で、「古物商の許可」が必要かどうかを確認、検討する機会も増えております。

本記事では、この「古物」とは何か、そして「古物商」とは何か、その種類及び古物商が負う義務について解説します。

 

古物とは

まず、「古物」とは何かを確認します。

古物に関する法律である「古物営業法」では、「古物」とは「一度使用された物品…(中略)…若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたもの」と規定されています(同法第2条第1項)。

また、古物営業関係法令の解釈基準等(平成7..11警察庁丁生企発第104号)によって、以下のとおり、より詳細に定義付けされています。

①「使用」とは「物品をその本来の用法に従って使用すること」

②「使用のために取引されたもの」とは、「自己が使用し、又は他人に使用させる目的で購入等されたもの」

③「幾分の手入れ」とは、「物品の本来の性質、用途に変化を及ぼさない形で修理等を行うこと」

つまり、「古物」とは、「使用、未使用に関わらず一度でも消費者の手元に渡った物」と解釈されております。

 

この「古物」を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業のことを「古物営業」言い、この古物営業の許可を受けてこの営業をする者のことを「古物商」と言います。

なお、「古物営業」には、単に自己の古物を売却すること、又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うものは含んでおりません。あくまでも、古物を、営利の目的をもって反復継続して売買することが古物営業とされているためです。

つまり、フリーマーケットやインターネットオークション等で単に自分のものを売るのみ、他人から自己で使用するために古物を買うだけであれば、古物営業に該当せずに、その営業許可を受ける必要がありません。

 

古物の種類

では、具体的にどのようなものが「古物」になるのでしょうか?

古物の種類は、下記の13項目に分類されております(古物営業法施行規則第2条、古物営業法施行令第1条)。

①美術品類(書画、彫刻、工芸品等)

②衣類(和服類、洋服類、その他の衣料品)

③時計・宝飾品類(時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等)

④自動車(その部分品を含む。)

⑤自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品を含む。)

⑥自転車類(その部分品を含む。)

⑦写真機類(写真機、光学器等)

⑧事務機器類(レジスター、タイプライター、計算機、謄写機、ワードプロセッサー、ファクシミリ装置、事務用電子計算機等)

⑨機械工具類(電機類、工作機械、土木機械、化学機械、工具等)

⑩道具類(家具、じゅう器、運動用具、楽器、磁気記録媒体、蓄音機用レコード、磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物等)

⑪皮革・ゴム製品類(カバン、靴等)

⑫書籍

⑬金券類(商品券、乗車券、郵便切手、航空券、美術館・遊園地等の不特定かつ多数の者が入場する施設等の入場券、収入印紙等)

 

この13項目に分類されないものは、法令上「古物」には当たらないことになります。

例えば、使用すると消費してしまう物(化粧品等)や実体のない物(電子チケット等)、物の本来の用途や性質が変わった物(ジーンズをリメイクしてバッグにしたもの等)は古物にあたらないため、これらを売買するために古物商の許可を取得する必要はありません。

 

古物商の負う義務

古物の売買等の古物営業の規制の目的は、「盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もつて窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資すること」とされております(古物営業法第1条)。

この目的を達成するために、古物商には以下の3つの義務が課されています(古物営業法第15条、第16条)。

 ①取引相手の確認義務

 ②不正品の申告義務

 ③帳簿等への記録義務

 

①取引相手の確認義務(古物営業法第15条第1項第1号乃至第4号、古物営業法施行規則第15条)

古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、以下に掲げるいずれかの措置をとらなければならないとされております。

 
◆運転免許証等で相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認する方法
運転免許証、国民健康保険被保険者証、マイナンバーカードその他の相手方の住所、氏名及び年齢又は生年月日が分かる資料の提示を受ける必要があります。

後々何かあった場合に備えて、確認時に免許証等の提示された確認資料のコピーを取り、自身で保管することがよろしいでしょう。

また、相手方以外の者で相手方の身元を確かめるに足りるものに問い合わせる方法もあります。例えば、取引の相手方が未成年者である場合の保護者や、取引の相手方の親族等、相手方が本人であると確認できる関係者に電話で確認する方法です。 

◆相手方から買取申込書等(相手方の署名のあるもの)の交付を受ける方法
古物取引の相手方から、その住所、氏名、職業及び年齢の記載された書面の交付を受けることで、相手方の確認とする方法です。

この書面は、例えば、取引時の買取申込書に前述の記載を受けることで足ります。

なお、この交付を受ける必要のある書面には、相手方の「署名」があるものに限られております。

この署名は、古物商又はその代理人、使用人その他の従業者の面前において万年筆、ボールペン等により明瞭に記載されたものでなければならないため、相手方に手書きで記入及び署名してもらいましょう。

なお、この書面の交付は、電磁的方法による記録であって相手方の電子署名が行われているものの提供を受ける方法によっても構いません。 

◆その他古物営業法施行規則に定められた措置による方法
具体的には、相手方の印鑑証明書の交付と実印が押印された書面の交付を受けること、本人限定受取郵便を送付してその到達を確かめること、相手方から自己の面前において「住所、氏名、年齢、職業」の申出を受けて最後に電子タブレット端末等の器具を使用して相手方の氏名の筆記をさせること等です。

 

以上の方法のいずれかにより、古物商は取引の相手方の本人確認を行う義務があります。より取引の安全を図るのであれば上記の方法を組み合わせて行うのが望ましいです。

なお、古物の取引額が総額で1万円未満の取引に関しては、本人確認を要しないとされています。但し、この場合であっても、ゲームソフト、CDDVD、バイク等の盗品の疑いのある可能性が高い古物は、取引額が1万円未満であっても、前述のとおり本人確認が必要です。

また、自己が売却した物品をその売却の相手方から買い受ける場合も本人確認は不要です。

なお、この本人確認義務に違反した場合、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処されます(古物営業法第33条第1号)。

 

②不正品の申告義務(古物営業法第15条第3項)

古物商は、古物を買い受けた場合でその古物が不正品の疑いがあるときは、すぐに、警察官にその旨を申告しなければならないとされています。

 

③帳簿等への記録義務(古物営業法第16条、同法第18条、古物営業法施行規則第18条)

古物商は、取引を行ったときは、その都度、「古物台帳」と呼ばれる帳簿や取引伝票等にその取引内容を記載、又は電磁的方法(データ化)により記録をしておかなければならず、その帳簿等は、最終の記載をした日から3年間、その古物営業を行う営業所で保管する必要があります。

なお、帳簿等に記録する内容は下記のとおりです。

・取引の年月日

・古物の品目及び数量

・古物の特徴

・相手方の住所、氏名、職業及び年齢

(美術品、時計・宝石品類、自動車、バイクが取引の対象物の場合は免除されます。)

・取引時に行った本人確認の方法

 

以上のとおり古物商の3つの義務について解説しましたが、これらの義務を怠ると古物商許可の取消し、罰金等の処分を受けますので、必ず遵守するようにしましょう。

 

 

まとめ

以上、古物商とは何か、古物の種類、古物商の義務について解説しました。

古物商を行うために古物営業の許可を取得するには、法人か個人での取得かにより必要となる書類が異なり、また、申請後の管轄警察署での審査期間も約40日と長く、また申請までの書類準備にも煩雑な作業を伴います。

古物商の許可申請手続きを行う場合には、専門家に頼ることも視野に入れておくことをお勧め致します。