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解散・清算結了

解散と清算結了の違い

会社を経営している方にとって、自社のビジネスが更に拡大することを目指して日々活動し、そのために会社という組織を、永続的に発展させたいと思っておられることでしょう。

しかし、会社設立をしたものの、事情により会社を廃業しなければならないケースも起こり得ます。

その事情には、業績が厳しい、後継者を確保できないなどの理由だけでなく、たとえばある目的の達成のために会社を設立した場合において、その目的の達成に至った場合などもあり、必ずしもネガティブなものに限りません。

実際に会社を廃業するためには、法人格を消滅させなければなりません。

そのためには、会社を「解散」させて「清算」手続を行うといった、会社法に基づいたプロセスを経る必要があります。

 

「解散」とは?

会社の「解散」とは、会社の通常の営業活動を中止して、法人格を消滅させるための手続です。

もっとも、会社の法人格は解散によってすぐに消滅するのではなく、合併などの場合を除いて、解散に続いて「清算」手続が行われ、清算手続を結了することで初めて法人格が消滅します。

なお今回は株式会社が解散するケースを説明していきます。以降は単に「会社」と記載します。

会社は次の事由が生じたときに解散することになります。 

1 定款で定めた存続期間の満了

2 定款で定めた解散の事由の発生

3 株主総会の決議

4 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)

5 破産手続開始の決定

6 第824条第1項又は第833条第1項の規定による解散を命ずる裁判

7 休眠会社のみなし解散

 このうち、事業を中止して廃業させるという場合は「株主総会の決議」により会社を解散するということになります。

 

「清算結了」とは?

会社の「清算」とは、一言で言うと、解散した会社の法律関係の後始末をする手続です。

その手続として、債務の弁済、残余財産の処分等といったいわゆる清算事務を行います。

そして清算事務が終了して、株主総会で決算報告書の承認がなされれば、清算結了したことになり、法人格が消滅します。つまり、「解散」の手続きだけでなく、「清算結了」まで行ってはじめて、会社が完全になくなることになります。

なお最終的には、その株主総会から2週間以内に「清算結了」の登記を行う必要があります。

 

解散後に行うことは

会社が解散した後は「清算会社」となり、これまで取締役だった人はその地位を失い、その代わりに清算人が清算事務を行うことになります。

この清算人は株主総会で自由に選ぶことができますが、実務的には、解散前に取締役であった者がそのまま清算人になるケースが多いです。

 

清算会社が行えないことはどのようなものがあるか?

清算会社は、会社としては残っていますが、解散前と同様に営業活動をすることはできません。

清算会社においては、債権者に対する債務の弁済が優先的に行われ、株主は、債権者に対する手続が終了した後の残余財産の分配を受けることになります。

したがって、たとえば剰余金の配当を行うなど、債権者に先立って株主に対して出資財産の払戻しをすることは認められません。

そのほか、次の行為は清算会社においては行うことができません。

・減資

・自己株式の取得
→無償取得、または解散前の買取請求に応じた取得等は除きます。

・合併の存続会社になること

・会社分割の承継会社になること

・株式交換または株式移転

・特別支配株主の株式等売渡請求

 

清算会社が行えることはどのようなものがあるか?

前述のとおり、清算会社において積極的な営業活動はできなくなります。

しかし、例えば在庫処分のための販売や、売掛金回収などの残務処理といった清算の目的の範囲内の活動であれば、行うことができます。

そのほか、次の行為は清算会社においても行うことができます。

・清算事務

・株式、社債の発行

・商号変更、本支店移転、支店の設置

・支配人選任

・合併の消滅会社になること

・会社分割の分割会社になること

 

手続き期間

株主総会で解散の決議をしてから清算結了に至るまでの期間は、少なくとも2か月以上必要で、会社の規模や取引先との状況等によっては、半年、もしくはそれ以上に長引くこともあります。

実際に自分の会社を廃業させることを検討している場合、税理士や司法書士等の専門家に相談しながら進めていきましょう。

自社の場合はだいたいどのくらいの期間がかかりそうなのか、また、どのような手続が必要になってくるのか、検討するべき点が少なくないからです。

以下に、解散から清算結了までの大まかなスケジュールを記載します。

 

STEP1 株主総会において、解散決議および清算人の選任決議

→会社の営業活動を終了させます。

STEP2 解散登記・清算人就任登記

→解散の日から2週間以内に法務局に登記の申請を行います。

STEP3 債権者に対する公告・通知

→清算人は、清算会社の債務の弁済を行うことになりますが、すべての債権者に公平に弁済の機会を保障しなくてはなりません。
債権者に対しては、「会社に債権を持っている場合は、一定期間内に申し出てください。」とお知らせをします。
「官報」という国が発行する機関誌において公告をし、かつ、会社が把握している債権者に対しては、各別に催告を行います。
この一定期間は、少なくとも2か月以上設ける必要があります。

STEP4 決算報告書の作成・株主総会の決算報告書の承認決議

→清算事務が終了し、株主総会において決算報告の承認が可決されると、清算は結了し、この時点で株式会社の法人格は消滅します。

STEP5 清算結了登記

→清算が結了した時は、株主総会の承認の日から2週間以内に清算結了の登記の申請を行います。

 

解散、清算結了にあたっては、この他にも税務面や労務面含め、様々な手続が必要になってきます。それぞれ検討すべき点も多く、時間を要する手続きもあるため、解散をお考えの際は早めに検討・準備を進めることをお勧めします。