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会社設立

会社経営を行う際に、まず入り口となるのがこの「会社設立」です。新しく起業するために会社を設立される方もいらっしゃるでしょうし、これまで個人事業主として行っていた事業を会社名義に切り替える、いわゆる「法人成り」をする方もいらっしゃると思います。いずれの場合でも、設立手続き自体に変わりはありません。法律で規定されている手続きを経て、会社を設立することとなります。

 

会社を設立するにあたって決めること

行う事業の内容にかかわらず、会社を設立する上で決めなければいけない事項はほぼ、決まっています。会社、といっても株式会社や合同会社等様々な形態がありますが、決定すべき事項は概ね、同じです。(株式会社と合同会社については後述します。)

決定すべき事項は以下の通りです。

・商号

いわゆる会社の名前です。会社の形態(株式会社など)を表す文字が入っていれば、一定のルールのもと、自由に決定することができます。

・本店所在場所(会社の住所)

会社の住所です。会社の事務所やオフィスとすることが一般的ですが、まず始めは自宅の住所を本店住所としたり、レンタルオフィスの住所を使用することもあります。

・目的(事業目的)

この会社で行う事業の内容を記載します。1つ以上であれば数に制限はありませんが、多すぎると対外的な印象や与信に影響が出る可能性があります。

・出資金額(≒資本金額)

会社の元手となる資金です。これも1円以上であれば設定可能ですが、あまり低い金額を設定すると、対外的な印象や与信に影響が出て、会社設立後に会社名義の銀行口座が開設できない、ということがあります。そのため、資金に余裕があるようであれば、100~500万円程度で設定することをお勧めします。

なお、出資金額に上限はありませんが、資本金額が1000万円以上だと、法人税や消費税の課税に変動が生じてくることから、設立時は1000万円未満で設定される方が多くなっています。

・出資者

前述の出資金を支出する人のことです。1名以上いれば手続きは可能で、個人でも法人でも問題ありません。株式会社の場合、出資者は「発起人」とも呼ばれ、会社設立手続きでは、定款の作成等の手続きを担います。そのため、印鑑証明書等の提出や書類への押印が必要となるので、外部の方から出資を受ける場合は、設立後とされたほうが無難です。

なお、出資をする「発起人」は、出資金額に応じて株式が割り振られ、設立後は「株主」となります。

・役員

会社運営を担う立場のことです。株式会社の場合は「取締役」や「監査役」、合同会社の場合は「業務執行社員」と呼ばれる立場がこれにあたります。

役員は最低1名いれば、手続きが可能ですが、出資者と異なり、法人は役員となることができません。

・事業年度

いわゆる決算期、のことです。個人事業の場合は、毎年1月1日~12月31日となりますが、会社は1年間の期間で自由に設定することができます。設立日から逆算して、1期目が最長となるよう設定する場合、これまでの事業や別会社に合わせて設定する場合、繁忙期とずらして設定する場合、など様々です。

・設立日

会社成立の日を指し、この日で会社ができることとなります。つまりこの設立日以後、会社名義での活動(契約締結、ホームページの開設など)が可能となります。

設立日は自由に選ぶことができますが、手続きにあたっての準備をすべて行い、法務局に「設立登記」を申請、受理された日が「設立日」となります。そのため、法務局が開庁していない(=申請の受理がされない)土・日・祝日は、設立日とすることができません。

なお、この設立日以後、会社名義での活動は可能ですが、会社の履歴事項全部証明書(いわゆる登記簿謄本)や印鑑証明書は、法務局の審査が完了次第の発行となりますので、設立日当日にこれらの証明書を発行することはできません。そのため、銀行口座開設など各種証明書が必要な手続きについては、設立日から1,2週間後の着手、となります。

 

株式会社と合同会社の違い

会社設立にあたって、多くの方が迷われるのが「株式会社と合同会社、どちらにするか」という点になります。

そもそもどちらも法人(会社)であることに変わりはなく、いずれでも事業を行っていくことは可能です。また、手続きの流れや必要となる書類も、大きく差はございません。

その上での違いは、次の3点になります。

①設立手続き費用

株式会社の場合、登記申請時に国に納める登録免許税が最低15万円(資本金額の0.7%が15万円を超える場合はその金額)、定款認証のために公証役場に支払う費用が5万2000円程度と、最低でも20万2000円の実費が発生します。

これに比べて、合同会社の場合は、登記申請時に国に納める登録免許税が最低6万円(資本金額の0.7%が6万円を超える場合はその金額)のみ、となるため、合同会社の方が、費用をかけずに設立することができます。

②出資者と役員を分けられるかどうか

株式会社の場合、出資者と役員を別の人とすることが可能です。この人は出資はするけど役員にはならない、この人は役員として会社を運営するけれど出資はしない、といったことも可能です。

一方で合同会社の場合、役員となるためには必ず1円以上の出資をする必要があります。また出資をする場合も、必ず役員となる必要があります(登記簿謄本上に名前を出さないことはできますが、役員としての地位は必ずついてきます。)

そのため、合同会社で出資だけしてもらう、役員にだけ入ってもらう、ということができないので、将来的にVC(ベンチャーキャピタル)や投資家などからの出資を受けたいと考えている場合は、株式会社の方が適しているといえます。

③名称の影響力、ブランド力

日本の大手でも「合同会社」として経営をしている企業が少しずつ出てきたとはいえ、「合同会社」の知名度やブランド力はまだまだ、というのが正直なところです。そのため、株式会社として運営をしている方が、ブランド力や世間的な信用力は高いことがままあります。株式会社の方が取引がしやすい、といったこともあるようですが、これは取引の相手方にもよってくるので一概には言えません。

 

設立の手続きと必要書類

株式会社と合同会社の設立手続きに大きな違いはありませんが、それぞれ以下のような流れでの進行となります。

株式会社の場合

①前述の「決定すべき事項」を決定する

②決定した内容をもとに「定款」を作成する

(定款:会社の規則を決定した書類のこと。定款にどのような規定があるかによって会社の運営方法や決定事項が変わってくることもある、重要な書類です。)

③定款の内容が確定次第、出資金を「出資者名義の銀行口座」に入金する

(会社名義の銀行口座がないため、出資者の口座に出資金を準備します。)

④定款の内容をもとに、その他の必要書類を作成もしくは手配する。

・定款認証のための出資者の押印のある書類

・出資者の印鑑証明書(出資者が法人の場合は履歴事項全部証明書+印鑑証明書)

・役員の就任承諾書

・役員の印鑑証明書

・出資金の払込証明書

・③で出資金を準備した出資者の銀行口座の通帳コピー(ネットバンキングの画面キャプチャでも手続き可能です。)

・印鑑届書(会社実印を登録するための書類です。)

・委任状(司法書士などに依頼をする場合)

⑤必要書類の準備ができ次第、公証役場で定款の認証手続きを行う。

⑥定款認証手続きが完了次第、法務局に申請書と必要書類を提出して、登記申請を行う。

⑦1週間~10日程度の法務局の審査期間を経て、履歴事項全部証明書・印鑑証明書の発行

 

合同会社の場合

①前述の「決定すべき事項」を決定する

②決定した内容をもとに「定款」を作成する

③定款の内容が確定次第、出資金を「出資者名義の銀行口座」に入金する

(会社名義の銀行口座がないため、出資者の口座に出資金を準備します。)

④定款の内容をもとに、その他の必要書類を作成もしくは手配する。

・定款作成のための出資者の押印のある書類

・代表となる役員の就任承諾書

・代表となる役員の印鑑証明書

・出資金の払込証明書

・③で出資金を準備した出資者の銀行口座の通帳コピー(ネットバンキングの画面キャプチャでも手続き可能です。)

・印鑑届書(会社実印を登録するための書類です。)

・委任状(司法書士などに依頼をする場合)

⑤必要書類の準備ができ次第、法務局に申請書と必要書類を提出して、登記申請を行う。

⑥1週間~10日程度の法務局の審査期間を経て、履歴事項全部証明書・印鑑証明書の発行

 

会社概要によっては、別途の手続きや書類が必要となることもありますので、不明な点がある場合は、専門家にご相談・お問い合わせいただくことをお勧めします。

なお、弊所にて手続きを承った場合、上記①の決定事項の決定から最後の手続き完了まで、概ね1ヶ月~1ヶ月半程度での手続きとなります。(会社概要や法務局の混雑具合により多少前後する可能性があります。)