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商号変更

会社・法人は一定の手続きを経て、その商号(会社名)を変更することができます。

商号を決める際のルール

商号は基本的に、会社・法人が自由に決めることができますが、守らなければならないルールがいくつかあります。

まず、商号にはその会社・法人の種類を示す語(「株式会社」や「合同会社」など)が入っていなければなりません。

例、○○株式会社、合同会社××など

次に、商号には使用できる文字が定められています。

使用できる文字…ひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字(大文字及び小文字)、アラビヤ数字、

「&」(アンパサンド)、「’」(アポストロフィー)、「,」(コンマ)、「-」(ハイフン)などの一部の符号

符号は、字句(日本文字を含む。)を区切る際の符号として使用する場合にのみ、用いることができます。したがって、商号の先頭又は末尾に用いることはできません。

なお、ローマ字を用いて複数の単語を表記する場合に限り、当該単語の間を区切るために空白(スペース)を用いることもできます。

また、同じ所在場所に本店を置く他の会社・法人と同一の商号は使用することはできません。その他、所在場所が異なっていても、有名な会社・法人や、同じ地域の会社・法人と同一の商号は、誤認の恐れや、不正な競争目的とみなされる恐れがあるため、避けたほうが無難でしょう。

 

商号変更の具体的な手続き

商号は、会社・法人の定款によって定められています。したがって商号を変更するためには、定款の変更手続きが必要となります。

定款の変更手続きは、例えば株式会社の場合は、株主総会の特別決議によって行います。

特別決議は、「議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行います。(会社法第309条第2項)

この定款変更を行った株主総会議事録と株主リスト(司法書士などの代理人に手続きを依頼した場合はさらに委任状)を申請書に添付して、管轄の法務局へ登記を申請します。

登記完了までは、管轄法務局にもよりますが、およそ1週間から10日ほどかかります。

なお、登記申請の際には、登録免許税金3万円を納める必要があります。後述する目的変更も同じく登録免許税3万円です。別個に登記申請した場合は各3万円、計6万円かかってしまいますが、同時に登記申請した場合は、両者合わせても3万円の納付で手続きをおこなうことができます。

 

商号変更の登記をした後の手続き

会社・法人が商号を変更したことに伴い、以下のような手続きが必要となります。

・税務署、都道府県税事務所、市区町村、年金事務所等関係役所への届出

・金融機関の口座名義変更手続き

・電気、ガス、水道等公共料金の契約の名義変更手続き

・取引先への通知

なお、商号変更にあたり、会社・法人実印の変更は必須ではありませんので、それまでの商号が記載された印鑑を使用し続けることも可能です。もし新商号で会社・法人実印を作り直した場合は、会社・法人実印の変更届を法務局へ提出する必要があります。これは商号変更登記の際に同時に出しても構いませんし、後から出しても構いません。

 

目的変更

商号変更と同様に、会社・法人は一定の手続きを経て、その目的を変更することができます。
新たに事業目的を追加する場合や、既存の目的の文言を変えたい場合に変更を行います。

目的を決める際のルール

目的も基本的に、会社・法人が自由に定めることができますが、いくつか注意すべきことがあります。

まず、目的には、「明確性」、「適法性」、「営利性」が必要とされています。

「明確性」
一般人において、理解が可能であることです。業界内で広く使用されている言葉であっても、一般的にはあまり浸透していない文言の場合や略語表記になっている場合、法務局の審査が通らない可能性があります。ただし、注釈や意味をかっこ書きで付すことにより、明確性が向上してその文言を使用することができることもあります。
(例:SEO(検索エンジン最適化)に関するサービスの提供 等)

「適法性」
強行法規や公序良俗に反する事業目的として掲げることはできません。また、法令上、医師や弁護士、司法書士等の資格者に限り行うことができる事業も目的とすることができません。

「営利性」
株式会社は、事業活動を通じてあげた利益を構成員に分配することを目的とした団体であるため、当該会社が利益を取得する可能性の全くない事業を目的とすることは認められていません。

また、事業目的を変更する際は、将来行う可能性のある事業目的も追加しておくとよいでしょう。事 業目的として記載のある事業を実際に行わないことはできますが、記載のない事業を行うことはできません。新しい事業を行おうとするたびに、事業目的の追加・変更登記手続きを行うとなると、その分費用や手間がかかってしまいます。そのため、将来的にこういったことがやりたい、と考えている事業があれば、あらかじめ入れておいた方が無難です。

しかし、だからといってなんでもかんでも目的を追加しておくのは好ましくありません。あまりに事業目的が多すぎるとその実態や実際の活動目的が疑われ、銀行などの融資も下りにくくなってしまいます。想定している範囲内の事業を、適切な分量で入れましょう。

その他、許認可事業を行う際の、目的の定め方にも注意が必要です。許認可届出先の役所によっては、特定の文言が含まれていないと、許認可が下りないことがあります。事前に届出先の役所に問い合わせるとよいでしょう。

 

目的変更の具体的な手続き

目的も商号と同様に、会社・法人の定款で定めなければならない事項ですので、定款の変更手続きが必要です。株式会社の場合は、商号変更の場合と同様に、株主総会の特別決議によって行います。

この定款変更を行った株主総会議事録と株主リスト(司法書士などの代理人に手続きを依頼した場合はさらに委任状)を申請書に添付して、管轄の法務局へ登記を申請します。

登記完了までは、管轄法務局にもよりますが、およそ1週間から10日ほどかかります。

なお、登記申請の際には、登録免許税金3万円を納める必要があります。これは、手続き1回につき発生してくるものですので、その1回の範囲で目的をいくつ変更しようが、いくつ追加しようが変わりません。また、前述したように商号変更がある場合に、同時に登記申請をした場合は、両者合わせても3万円で手続きをおこなうことが可能です。